2020 . 02 . 18
とよファーム

冬の地道な作業が美味しいりんごをつくる!実のない木に想像力をふくらませて。

皆さんはじめまして!「mirin」と申します。私は地元豊丘村で生まれ育ち、今もご縁があって豊丘村で暮らしながら育児をしている主婦です。地元愛が深く、かなり豊丘びいきが強いかも(笑)地元民の目線でこれから豊丘村の魅力をお伝えしていければと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
さて今回は、りんごの収穫・出荷と繁忙期が無事に終わった原農園さんの冬のりんご畑へ取材に伺いました。冬のりんご畑と聞くと、実も葉もない木だけの畑でどんな作業をされているのか、はたまた冬は作業もお休みなのかな?と思いがちですが、実は冬の時期にこそ、りんご作りの要となる大切な作業をされていることがわかりました。

見極めが肝心!枝の剪定(せんてい)作業

りんご畑へ入らせていただくと、6段もある高い脚立に軽々と登りながらはさみを持ち、真剣な表情でりんごの木を見つめ、スピーディーに枝を切り落としていく原さん。この作業こそがりんご栽培においてとても重要とされる「剪定」です。
一般的に剪定の作業には、不要な枝を切り整えることで生育を促し、木の健やかな成長をサポートするという目的がありますが、ただやみくもに切っていけば良いというわけではなく、1本1本、木の成長の具合を見極めて切り進めていく必要があるようです。やり方も人によって様々で、青森地方では○○流と呼ばれる剪定の流派があるほど、りんごの木の剪定においても大切なセオリーがあるそうです。
まずは、わい化(接ぎ木をして生育し、わざと小さな木に仕立てているもの)の剪定を見せていただきました。原さんが手にもつ剪定用のはさみは、腰からコードが伸びた見慣れない形をしていました。原さんが愛用しているのはフランス製の電動はさみ。これを使うと腱鞘炎などを起こさず、ほとんど力を入れずにスピーディーに切っていくことができるそうです。ノコギリが必要なくらい太めの枝も根元からばっさり!断面もきれいに塞ぐことができるため、そこから新しい芽が吹いてしまうのを防げるというメリットも。実際に使用されている農家さんはまだ少ないそうですが、原さんのこだわりを感じました。

実際に体験!切ってみたら…意外と簡単?


実際に体験!切ってみたら…意外と簡単?

私は一般的な剪定ばさみをお借りし、試しに枝を切ってみましたが、細い枝だったので枝を切ること自体に難しさはありません。原さんは実際に枝を切り落としながら、その枝を切る理由を教えてくださいましたが、素人には難しくなかなか理解することができません…すると原さんがこんな説明をしてくださいました。一本のりんごの木を水道からつながるホースに例え、「(土から吸い上げた水分を)根元の蛇口をひねったとき、水の勢いがどこかに集中してしまったり圧がかかってしまったりすることのないように、水がゆっくりと柔らかく均等に上へ流れ、全体に行き渡るようなイメージを持ちながら切っていく」…と。なるほどわかりやすいと思ったのと同時に、原さんのりんごへの愛を感じた瞬間でもありました。

りんごの実がついた姿を想像する

剪定には、新しい枝をつくるために昨年伸びた枝を切り落とし、重なり合って日当たりが悪くならないようにスペースをつくる意味もあります。切りすぎも切らなさすぎも良くないため、将来りんごの実がついた木の姿を想像しながら剪定していきます。りんごの収穫が終わり、全て葉も落ちたあとの冬~春先(3月末頃)まではりんごの木にとって養分をストックしている大切な休眠期。この期間に剪定をし、木をつくっていくことで来年以降の果実品質に大きな影響を与えるのだそうです。りんごが実をつけている時期に枝を切ってしまうと品質が落ち、味も落ち、翌年のりんごにも悪影響が出てしまうため、今しかできないとても重要な作業です。

剪定は、職人にしかできない仕事

剪定は、どの枝を切るか見極めていくことが一番の肝。従業員さん全員で同時に作業できる摘果や収穫などとは違い、果樹栽培において一番技術が必要な分野のため誰でもできる作業ではなく、原農園さんでは原さんと指導中の若手従業員2名しか剪定作業にあたることができないそうです。
そして普通木(ふつうぼく)と呼ばれ何百玉も実をつける大きなりんごの木は更に経験と技術を要するそうで、全ての普通木の剪定を原さん一人でされているとのこと。おじゃました畑だけでも相当な数のりんごの木があったのですが、春先までの限られた時間の中で、全ての木に真剣に向き合いながら毎日こつこつと作業をしていかなければならない…原さんは「剪定の時期は、一年の作業が終わり来年以降のことを考えられる時期」だと仰っていましたが、時間に追われる中で頭を使い、冬の厳しい寒さに耐え、疲労感を伴う作業が続く毎日…美味しいりんごができる裏にはこんなに地道で大変で、しかもとても意味のある作業が行われているということを今回学びました。

枝の片付け

その後、剪定が済んだ畑では切り落とした枝を拾い集め、片付けていきます。この作業もお手伝いさせていただきましたが、無数の枝を屈んで拾い集めていくことは、単純作業ながらも、これまた地道で腰に負担がかかる作業だと実感しました。
農園全体で数百本もあるりんごの木から切り落とされた枝は相当な量になるため、原農園さんでは燃やしたり、機械を使ってチップ状に裁断したものを重機で掘った穴に埋めたりして廃棄されているそうです。

美味しいりんごは、冬の地道な作業がつくる

剪定作業を進めながらも、終わった畑の片付けや他の作業の段取りを指示するなどリーダーシップを発揮されている原さん。冬のりんご畑で真摯にりんごと向き合い、より良い品質のりんごをつくるため日々思いを込めて作業されている原さんの姿に、豊丘村のりんご栽培を心から応援したいと感じながら畑を後にした私でした。今年も益々美味しいりんごが、たくさん実りますように!

原さんの経営している「丘の上ファーム」は、丁寧に栽培したりんごからシードルなども作っています。シードル「ラ・コリーナ」は甘すぎず、一度味わうと忘れられない美味しいお酒です。ぜひご賞味ください

■ 豊丘村「丘の上ファーム 原農園」
https://www.harafarm.com/