2020 . 06 . 09
とよファーム

春爛漫♪摘花と人工受粉をレポート

こんにちは、“ぽてこ”です。
4月下旬、気候はだいぶ暖かくなりましたが遠くの山々にはまだ雪が残っていて、青空と雪山のコントラストが清々しい…気持ちの良い季節がやってきたなぁと、うれしい気分になります。この時期、りんご農家では「摘花(摘果)」と「人工受粉」という大事な作業が行われます。原農園さんのりんご畑を訪れると、辺り一面、真っ白なりんごの花が出迎えてくれました。

「摘花」=実を大きくするために花を選別する作業

りんごの花を近くで見ると、1つの株に5つ6つと白い花がたくさん咲いているのがわかります。実は、咲いている花すべてをりんごの果実に育てるわけではないそうです。ぜんぶの花を残しても養分が分散してしまい、小さな実がブドウのようにたくさん付くだけで、私たちが知っている大きなりんごの果実にはなりません。大きくて立派なりんごに育てるには、1株につき1輪だけ花を残し、他の花はすべて摘んでしまいます。これを「一輪摘花」というそうです。何だかもったいない感じもしますが、この摘花が美味しいりんごを育てるためには必要な作業なんですね。真ん中の一番早く咲く花「中心花」を残し、その周りの花「側花」はすべて摘んでしまいます。

花は段階的にどんどん咲きますので、畑全体ひと通り摘花を行った後も、二段階、三段階と摘花を繰り返します。そして花が咲く時期は5月初旬には終わり、やがて「がく立ち」と言って、花の付け根の“がく”の部分が垂直に起きてきて、その周辺が膨らんでくるそうです…この部分がりんごの果実になるということです(!)。花が咲いている今の段階では、あんな大きなりんごの果実になる様子はまったく想像できません。その「がく立ち」の段階になっても選別は続けられますが、花は散ってしまいますので、呼び方も「摘花」から「摘果」に変わります。一株単位ではなく、枝や木全体を見渡して、密度(適正着果量)を確認しながら「仕上げ摘果」をしていきます。この作業はひたすら約2ヶ月間、6月末頃まで続くそうです。

実際に摘花作業を体験させてもらいました。近くでみると、どれが中心花かすぐに分かりました。その周りの花を手でブチブチと摘み取ります…きれいに咲いている花には何だか申し訳ない気分ですが。特に難しい作業ではありませんが、とにかく膨大な数の花が咲きますので、あまり難しく考えず、テキパキと進めていかないと終わりそうにありません。

「人工受粉」=確実に実を付けるために、受粉をお手伝い

摘花作業とほぼ同時期に「人工受粉」の作業も行われます。りんごが実をつけるためには、他の植物と同じく受粉しなければなりませんが、より確実に受粉するために人の手で受粉作業をします。人工受粉のタイミングは、気温が20度ぐらいに上がってこないと受粉しにくいため、天気や気温を見ながら判断するそうです。ちょうど取材をした翌日に人工受粉作業をするということでしたが、花は一斉に咲くため「時間との戦いになる」ということで、翌日の取材は遠慮させていただき、代わりにその場で特別に人工受粉の様子を原さんに見せていただきました。

受粉の材料である花粉は少量でもとても高価ななものだそうで、風に飛ばされないように注意しながら撮影しました。この花粉を「石松子(せきしょうし)」というピンク色の粉で5倍ぐらいに希釈して使うそうです。花粉を筒状の容器に入れ、細い柄の先端に付いた“ボンボン”(耳かきの先についた梵天のようなもの)に花粉を少し付けて、花の表面を軽くポンポンと跳ねるように花粉を付けていきます。花粉を付けた花びらには石松子のピンク色が付くので分かりやすいですね。しかし、とにかく花の数が膨大。1本の木を一人で作業すると2〜3時間かかるとのことで、畑全体で数百本、これを天気と気温を見ながら作業するわけです。とにかく根気と集中力のいる作業ですね。十数人のスタッフの皆さんで手分けして進めていくそうです。

季節は待ってくれない

私たちの人間社会は新型コロナウイルスで大混乱ですが、自然はそんなことお構いなしに例年のように芽吹き、そして花を付けます。ミツバチたちも飛び交い、春を謳歌しています。季節は待ってはくれません。 原農園さんでも“ソーシャルディスタンス”は意識して、お茶の時間は間隔を開けて座ったり、水筒を各自持参してもらったりとコロナ対策をしつつ、常に自然と向き合った生活サイクルが続けられています。うららかな春の風景とは対照的に、時間との戦いのなかでテキパキと作業をされているのが印象的でした。美味しいりんごをお客様にお届けするための不断の努力が、いまこの瞬間も続けられています。