2019 . 10 . 31
とよピープル

豊丘村の耕作放棄地を魅力ある農地に変えていきたい!

—丘の上ファーム原農園 原 昌紀さん

農業従事者が減り、耕作放棄地が増える豊丘村で、担い手がいない畑を借り受けたり、シードルを開発したりと、リンゴづくりに情熱を注ぐ若手農家、「丘の上ファーム原農園」の原さん。いつから農業を志し、そしてどこを目指していらっしゃるのでしょうか。原さんと農業の関わりについてお話をお聞きしました。

農業は、やりたいことを表現できる職業

—— いつから農業を始められましたか?

丘の上ファーム原農園 原 昌紀さん(以下:原):就農したのは2014年の秋ですね。就農して5年が経ちました。

—— 就農するきっかけは?

原:丘の上ファーム原農園は、祖父の代に畑作から始まり、果樹を植え始めました。それから親父の代にバブルの良い時代があって、農地を広げました。僕は次男なんですが、農業をずっと手伝ってました。当時は(農業を)継ごうとは思っていませんでしたが、高校を卒業して、農業大学校の果樹試験場で果樹の基礎を学びました。その後、社会人を経験して、外の世界も見たほうが良いと思い、大学卒業後コカコーラに就職し、営業をやっていました。その間もずっと頭の中には農業のことがあり、やがて自分で責任を持って経営をすることに興味が湧いてきていました。実家の農業を継ぐのは自分にしかできないと思っていて、会社を辞める前から農家の集まりなどには参加して情報を収集しつつ、30歳になったのを機に就農しました。

—— 社会人の経験は活かせましたか?

原:社会人を経験して色々とやりたいと思っていたんですけど、実際に入ってみるとできないことも多く、両親がこれまでやってこられたことの大変さも分かった反面、農業の面白さも分かりました。そこで改めて誰でも出来るような職業ではなく、自分にしか出来ない職業だという想いも強くなりました。サラリーマンのように時間を拘束されるのではなく、自分でやりたいことをやって表現できる、そしてやった分だけ返ってくることが魅力ですね。

3代続く農地を守りたい

—— 農業をやっていて楽しいとか嬉しいと思う時はどんな時ですか?

原:自分の作ったもので喜んでいるお客さんの顔が見られたり幸せになることは、自分にとってもやりがいにつながっています。あとは(農業は天候に左右されるので)果樹の花や実の成長を間近で見るだけで幸せな気持ちになります。僕は栽培が大好きで、新しい品種だったり、新しい栽培方法だったりを試して、新しい良いものを作って、お客さんに喜んでもらうために技術を追求していくことが楽しいです。

—— 逆に辛い時はどんな時ですか?

原:夏の暑い時期に草狩りしたり肉体的に辛いことはあります。あとはしょうがないことだと思いますが自然災害ですね。1年で一度しか収穫できないので自然災害に遭うと、その一年のやりくりを考えなきゃいけないので。

台風19号で2トンのリンゴが落下

—— 今回の台風の被害はどうでしたか?

原:約2トン(コンテナにして130コンテナ分)のリンゴが落ちました。

—— 大変でしたね。落ちちゃったりんごは別で使えるんですか?

原:使えませんね。シードル作りにも取り組んでいますが、シードルは専用の畑で専用のりんごを使用していて、傷ついたりんごは使用しません。シードルは「ラ・コリーナ-」というプロダクト名で、今年からスイートタイプのロゼも始めました。

—— 農閑期はありますか?

原:あると言えばあります。冬の時期は剪定ぐらいで、収穫が終わって1月とか雪の時期は少しゆっくりして、春に花が咲いて忙しくなります。とは言ってもなんだかんだ1年中働いてますね。

—— 農場の規模は?

原:りんごは4haぐらいですが、桃とぶどうとさくらんぼを合わせて0.5haぐらいやっています。もともと親父が2.5〜3haぐらいのりんご園をやっていて、りんごだけだと台風が来たりだとかリスクがあって、分散させる意味合いもありますし、お客さんのニーズに答えるために色々な果物を育てています。5年前に桃とぶどうを始めて、観光農園もやりたかったので、丘の上さくらんぼ農園を立ち上げて、昨年から本格的にオープンしました。さくらんぼ狩りが6月で、7月が桃狩り、おかげさまで多くの方にご利用いただいています。シードル作りも含め、就農してから1年目で色々なことを始めて今、実になり始めています。そんな自由に新しいことにも挑戦させてくれて二人三脚でやってきた親父が、今年の3月に病気で亡くなってしまいました。ここまで農園を作ってくれた親父に感謝しながら、祖父の代から続いてきた農地を長く守って、もっと発展させていきたいという想いがさらに強くなりました。

豊丘村を活きいきしている人がいっぱいの地域に

—— 原さんが考える豊丘村の農業の未来をどうお考えですか?

原:農業の魅力が伝わっていないんじゃないかと思って。辛いイメージのある農業ですが、そのイメージを変えて、活きいきと輝いて仕事しているってことを発信できればと思っています。色々な果樹があって農業を生業として、活きいきしている人がいっぱいいる地域になれば良いですね。

—— なるほど。なかなか長いスパンの話ですね。

原:地道ですね。他の産業みたいに短時間で農業は進まないので、植えた木が3年後に実がなるとか、畑もすぐに借りたり返したりするわけではないので長い目で見ていかなければいけません。人材不足なので楽しんでいる様子を発信していかなくてはいけないですね。おかげさまで、丘の上ファーム原農園の従業員はほぼ地元豊丘の人達で、みんなで楽しく働いてもらっています。さくらんぼや、シードルをやったりなど、従業員もワクワクするような農園にしたいと思っています。今うちで働いている従業員も、お金をもらって自然を感じながら農業をやるってことを魅力として感じてくれている部分もありますね。また農作業は気候が暑かったり寒かったり、また単純作業だったりと、大変なことも多いので、お茶の時間には軒下で、沢山お茶菓子を広げて、お喋りするなどの時間をとても大切にしています。

ヒップホップと農業

—— 農業はプライベートがあまりなさそうな印象ですが趣味はありますか?

原:従業員は土日休みですけど、僕は何かしら作業してますね。サラリーマンの時はきっちり分けらていたんですが、今は仕事もプライベートも一緒ですね。嫌々やらされていることではないので、ずっとプライベートみたいなものかもしれません。
趣味といえば、音楽が結構好きで、なかでもヒップホップが好きなんですよ。農作業をしながらヒップホップを聞いています。ヒップホップのベースにある反骨精神って、農家の自分の気持ちと近いものがあるんですよね。あとは体を動かすことは全般的に好きで、社会人バスケなどをやってます。あとは見る方だとプロレスも好きです。

豊丘村は農業にとって理想の場所、魅力ある農業を発信していきたい!

—— 最後に、原さんが思う豊丘村の魅力はどういったところでしょう?

原:気候がよく、四季折々の景観がすごく魅力的です。標高が高いため、日照時間は長いのに寒暖差があり、特に果樹には良い環境で、土地柄もよく、農業をやるには理想の場所だと思っています。小さな村なので、人の距離が近く顔と顔を合わせて、みんなで喜びも悲しみも分かち合えるのは大きな魅力ですね。あとは農業は高齢の方が支えている産業なので、どんどん耕作放棄される農地が増えていっていますが、魅力ある農地に変えていきたいです。その様子を発信して、都会の企業さんなどにみつけてもらって、来ていただいて何か一緒に新しいことができたら最高ですね。地域全体でりんごだけじゃなく、さくらんぼも桃も、いろんな果樹がつくられていて、高齢者だけじゃなくて若い人も主婦もいっしょに、作ってる人も楽しそうなコミュニティづくり、そんな絵を描いていきたいですね。

—— 今後わたしたちは原さんの一年を追い、時には農作業を体験させていただきながら、農業の大変さ、大切さ、そしてもちろん楽しさも、感じたままに皆様にお届けしたいと思います。お楽しみに。